『欲しい』はワガママではないかもしれない。『欲しい』気持ちには理由がある

これから数回にわたって、私の2年以上にわたる悩みの種



わが家のジュース問題について書いてみようと思う。
以前に東北大震災のとき、娘と同じように食べることが難しい子どものニュースをネットでみたことがある。


震災直後、避難所で主に支給されていた『菓子パン』をどうしても口にすることができなかった子がいた。

食事をとることなく、数日が過ぎ、お腹は確実に空いているはずなのに、それでもどうしても支給される菓子パンを口にすることができなかったのだ。


その子は、数日後にやっと届けられたおにぎりを息継ぎする間も無く頬張るように食べていたそうだ。



このニュースを見たとき、どうしても人ごとに思えなかったのを覚えている。


私も娘のことを経験してなかったら、

『お腹空いてるならなんでも我慢して食べたらいいのに』

『なんでそんな食べれないの?』って思っていたかもしれない。


でも、普通に食べれる私たちにとっては、なんともないようなささいなことも


本人とっては、大きなストレスになるのかもしれない。


これは、本人にしかわからない、
本人だけがわかる大切な感覚なんだ。

『これでなければいけない』
このこだわりは、本人も大変かもしれないけど、

それでも安心できないものを口にするほうがもっとストレスなのかもしれない。


ただでさえ不安な中、何日も安心して食べれる食べ物がないってどんなに心細くて辛かっただろう。

ご家族の方もどんなに不安だっただろう。


娘が3歳になる直前に風邪をこじらせて、食事が思うようにとれないことがあった。


体調を壊した時、通常なら、ゼリーやプリン、おかゆ、ぞうすい、スープ、果物


で栄養補給をするのが一般的かもしれない。

娘は上記のものがどれも食べることができなかったのだ。


はじめは食べれてた唯一の少量のうどんも日に日に食べれなくなって、


口にできるのがジュースだけになった。

そんな時、ジュースがよくないなんて言ってられない。

『なんでもいいから口から何か取り入れて欲しい』

私の願いはそれだけ。


1週間で1キロ近く体重が落ちて、入院を勧められたが


きっと娘は環境が変わると余計にストレスがかかり、余計に食べれなくなるだろうと主治医の判断で毎日点滴に通うことにした。
(パッケージに対するこだわりもあるので、処方された高カロリーのジュースももちろん口にすることができなかった)

その時、ずっーと気になっていた娘の栄養状態を採血で検査してもらった。


栄養状態は問題なかったが、血糖値が70


少し低血糖を起こしていた。


食べれる物も限られていて、チョコや飴など甘いお菓子も苦手な娘が唯一、即効性あるもので血糖値をあげれるのがジュースだった。

食べるのはゆっくりだけどジュースを飲む時は、水を得た魚のように、すごいスピードでいつも飲み干す。


お医者さんからも
『この子は本能的に(血糖値をあげるため)ジュースを欲してるのかもしれませんね』と言われた。


もしそうだとしたら、
私の中のジュースは良くないという一般的な正しさを握りしめて、


『またジュースばっかり飲んで!
さっきも飲んだでしょ』


と怒りまくってたけど、


もっとちゃんと娘の『本能からの欲求を受け止めてあげればよかった』という後悔がグワーッと湧いてきて泣けてきた。


私たち大人のように
『これを食べたら〇〇によい』
『これはカラダに悪い』


そうやって頭で考えて子どもはきっと食べ物を選んでいない。


動物と同じように、本能のまま、自分にとって必要かそうでないかで判断してるのかもしれない。


子どもは自分に必要なものちゃんとわかってるのかもしれない。


娘の『本能からの欲求』は、きちんと自分のカラダを良い状態に保つために起こってたのかもしれないと気づくための出来事だった。

当時、2歳の娘。

限られた自分の食べれるものの中で、ジュースはすぐに自分のカラダを元気にしてくれるものってわかってたのかもしれない。


もっと、娘の欲求、要求を『ダメ!』って頭ごなしに否定する前に


もっとちゃんと娘をみてあげれればよかった。

『ジュースは1日1本まで』(そんなこと到底不可能だったけど)


という、みんなから言われる正しさより
(お医者さんや専門家に言われるとそうしなきゃ、それが守れない私はどうなるんだろうって不安になるよね)


目がうつろになり、無気力になっている状態で目の前にいる娘が


ジュースを飲んで元気になれているのなら、


その方が私は安心する選択だった。



私自身、よく患者さんに

『〇〇は、控えてください』

それを守れない患者さんに何度も何度も

『控えましょう』と伝えてきたけど、

それをわかってても守れないのは、
決して意志が弱いわけではなくて、

きっとそれぞれにいろいろな葛藤や背景があるんだろうなと今なら思える。



みんな、そうした方がいいのかな?と思いながらもできない裏で、どれだけの事情や悩みや苦しみを抱えてたんだろうか。



だから、決して『伝えたことを守れない。だから、よくならなくても当然』それを責めるアドバイザーにはなりたくない。
(この経験をするまでは、正しさだけを伝える栄養士だったかもしれない)


そのわかってるけど出来ない苦しい気持ちに寄り添える人でありたいと思う。


そして、この時、カラダもココロも弱って衰弱していた娘を元気にしてくれたのは、


『お出かけ&ソランちゃんのお人形』だった。

元気のない時は、家でゆっくりが当然と思っていたけど、


大好きなお買い物をして気持ちが元気になることでカラダも少しずつ回復していった。


『病は気から』というけど



まさにそうだなと思える経験だった。


だから、私は、娘には元気に笑っていて欲しい。



気持ちが元気でいてくれれば、きっときつと元気でいれるはずだから❤︎



『ちゃんとした食事にしなきゃ!』をやめた管理栄養士。超偏食の娘が教えてくれてる本当に大切な食事とは〜

ママは管理栄養士。その子どもたちは超偏食だった。 世間で正しいと言われるちゃんとした食事(カロリーや栄養素など)を伝えることが仕事だった私。その知識は全くわが子に通用しなかった。 そんな日々に悩み、そこからたくさんの気づきをもらっている真っ最中。そしてその記録 『食育』で育つのはカラダだけじゃなかった。 カロリーや栄養素よりも大切なことがあった。

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